2022年度から高校の保健体育の授業で「精神疾患」が取り上げられます
うつ病や不安症などの患者の増加を受け、高校の新学習指導要領で精神疾患についての学習が約40年ぶりに復活し、2022年度から使用される保健体育の教科書には、精神疾患の予防や対処方法の記述が盛り込まれました。高校の保健体育の授業で、精神疾患が取り上げられることになります。
1981年度までの教科書には精神疾患に関する記述がありましたが、それ以降は「ストレス」や「精神の健康」などの文言に変わったようです。しかし、10代の発症も多い中、生徒が病気についての正しい知識を得て、予防や早期の治療につなげるため、学習指導要領が改められ、「精神疾患の予防と回復」の項目が設けられました。
文部科学省の学習指導要領解説には、学習内容は「①精神疾患の特徴 ②精神疾患のへの対処 としており、このなかでは、うつ病、統合失調症、不安症、摂食障害の4疾患については具体名を挙げて理解されるよう指導すること」を規定しています。
全国で使用される大修館書店の教科書「現代高等保健体育」では、8ページにわたって精神疾患を取り上げています。グラフやイラストとともに「およそ5人に1人以上が生涯に1回は何らかの精神疾患を経験」「約75%は24歳までに発病」「15~39歳の最多の死因は自殺」などと記し、うつ病や摂食障害など主な疾患を詳しく説明しています。また、うつ病から回復した著名人の体験談や、ストレスへの対処法も記載されています。10代での発症も多い中、予防や対処法を詳しく学ぶことに、病気への偏見解消の期待や生徒がSOSを早く出せるようになることが期待されます。
一昨年までの5年間の、長野県における未成年者の自殺者の66.7%を高校生が占めており、全国に比べて約25ポイント高くなっています。わたしたち当事者にできることは、要望があれば学校を訪問し生徒に体験を話すことだと思います。『ガレージとーく』の参加メンバーからも、「授業で精神疾患を学ぶ際に学校を訪問し、生徒に自分の体験を話したい」という意見が多く出ています。
まずは「学校メンタルヘルスリテラシー教育」に向けた活動の情報発信から、始めていきたいと思います。