2023年に自殺した小中高生は513人 2024年版自殺対策白書(2024年10月29日)

政府は10月29日の閣議で2024年版の自殺対策白書を決定した。こどもの自殺増を踏まえ、09~21年の自殺統計原票を特別集計した。それによると、女子高生の自殺(1162人)の原因は「健康問題」が31・8%で最も多かった。男子高生(2078人)で最も多いのは学業不振や進路の悩みなど「学校問題」が35・6%。「健康問題」は15・5%で、男女差が明確になった。

「健康問題」の内訳をみると、女子高生はうつ病、統合失調症といった精神疾患の悩みが男子高生よりも多かった。メンタルヘルスへの対応が、若年女子の自殺対策の重要な柱であることが統計的に分かった。

白書によると、自殺者数は全体として減る傾向にあるものの、20代までの若年女性は自殺者数、自殺死亡率ともに増加傾向にある。特に女子高生の増え方は顕著で、23年の自殺者は166人。09年の約2倍に増え、男子(181人)との差が縮まった。

また、今回初めて小中高生の自殺未遂歴も分析し、女子小学生と女子高生は、亡くなる1カ月以内に自殺未遂歴があった割合が高いことが分かった。

  令和6年版自殺対策白書

2023年に自殺した子ども513人の内訳は、高校生347人、中学生153人、小学生13人だった。

小中高生の自殺者数について、平成21(2009)年以降の年次推移を表したものが図表2-2である。小中高生の自殺者数は平成23(2011)年以降、毎年300人を超えるようになり、令和2(2020)年に大きく増加して400人を大きく超えた。その後、令和4(2022)年には統計開始以来最多の514人となり、令和5(2023)年はそれに次ぐ513人と、小中高生の自殺者数は高止まりしている。特に中高生の自殺者数は令和2(2020)年に大きく増加し、「高校生」は毎年300人を超え、「中学生」は毎年140人を超えている。

図表2-2 小中高生の自殺者数の推移

小中高生の自殺者数について、性別ごとに年次推移を表したものが図表2-3である。男性は令和元(2019)年を、女性は令和2(2020)年を境に自殺者数が増加している。男性では特に「高校生」が増加しており、女性では特に「高校生」が、次いで「中学生」が増加し、高止まりしている。

図表2-3 小中高生の性別にみた自殺者数の推移

参考として、令和元(2019)年から令和5(2023)年にかけての都道府県別のこども(5~19歳)の自殺死亡率について図表2-4に示す。図表上段の都道府県は、令和元(2019)年から令和5(2023)年までの5年間の年間平均自殺者数が30人以上の都道府県である。5年間のこどもの自殺死亡率は、全国的には約1ポイントの上昇であったが、福岡県、北海道、千葉県、埼玉県、東京都、愛知県の6都道県では、1ポイント以上上昇しており、年次でみてもおおむね上昇傾向にある。また、この間の自殺死亡率の上昇が1ポイント未満で、おおむね横ばいであったのは兵庫県、神奈川県の2県である。5年間で自殺死亡率が低下したのは大阪府であり、令和元(2019)年から令和4(2022)年にかけて上昇し、令和5(2023)年に低下した。

令和元(2019)年から令和5(2023)年までの5年間の年間平均自殺者数が10人以上30人未満の府県において、自殺死亡率が5年間で1ポイント以上上昇し、おおむね上昇傾向にあるものは、京都府や栃木県など7府県である。また、5年間の自殺死亡率の上昇が1ポイント未満で、おおむね横ばい傾向にあったのは宮城県、静岡県の2県、令和4(2022)年に一時上昇したのが奈良県、福島県の2県である。

図表2-4 【参考】都道府県別の5~19歳の自殺死亡率の推移

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